人間の脳は不完全?

なぜ人類は人工知能の開発に躍起になっているのだろうか?

それは人間の脳が不完全であるからではないだろうか?

 

人間の脳は学習・記憶に相当な時間がかかるという大きな欠点がある。

生まれた子供が言語や計算能力、社会生活で必要な知識を身に着けるのに、数年から10年程度の期間が必要である。その間、親や教師が長時間一緒に過ごす必要がある。

さらに、学習した脳内の記憶や経験を、USBメモリーでコピーするように、そのまま次世代に引き継ぐことはできない。文献やデータなどの形で外部の記憶システムに保存して伝えていくしかない。

 

人類がコンピュータを開発したのは、人類の能力として不足している計算能力や記憶能力を補うために開発されてきた。現状の特化型の人工知能も人間の能力を補完するという位置づけのものが多いと考えられる。

 

もし、人間の脳にコンピュータのような記憶・演算素子が組み合わされば、より高度な知能が生まれる可能性がある。

 

生物の脳(または汎用人工知能) + コンピュータの大量記憶・高速演算能力

= 新しい次元の「超知能体」が生まれる ?

その姿は、バイオテクノロジーで人類の自らの脳にコンピュータを組み込んだ新人類だろうか? ロボットの進化したアンドロイドだろうか? あるいは身体はなくとも情報空間に浮かんでいて、「人類とは」「感情とは」というメタ思考までできる「超知能体」だろうか?

 

これらはどれか一つになるというのではなく、いずれの形もそれぞれ進化していくのかもしれない?

さらに、この「超知能体」がネットワーク上で連携して協調していくと、どのような知能体になっていくのだろうか?「超知能体」のネットワークが地球全体に広がって、地球そのものが知性体(惑星生命体)になっていくのだろうか?

 

参考 「惑星生命体」は、以下の拙著でも紹介しています。

石田武志『システム工学で描く持続可能文明の設計図 ―文明設計工学という発想―』大学教育出版 ISBN 978-4-86429-245-0、2014年6月20日刊行