人工知能ロボットがつくる「無人自動企業」の可能性

『人工知能ロボットがつくる「無人自動企業」の可能性 もう一つの人工知能 人工「低」能による群知能がつくる未来』

「知性」とよばれるものは、人間の脳みそ以外にも数多くある。植物にだって知性がある。例えば、野菜のトマトは虫に襲われると、化学物質を放出して周囲の仲間に危険を知らせる。植物はいくつもの感覚を持っていて、外界の状況に応じて巧みな対応ができるシステムを持っている。粘菌は迷路の最短経路を解くことができる。

これらの「知性」は決して人間のような高度な知能ではない。いわば「低能」であるが、これらが複雑にネットワーク化され、相互依存することで、生態系が恒常的に維持される状態を生み出している。

このような群知能を模して、「人工「低」能のネットワークによる知的制御システム」のようなものはつくれないだろうか。あるいは「分散型人工知能」と呼んでもいいかもしれない。ひとつひとつは高度な知能をもたず、高度な知的処理、言語処理はできないが、これらが群れやネットワークを構成することにより、知的な組織体を構成し、社会の活動を支えていく、そして社会をより望ましい方向にもっていくこともできるのではないだろうか。

 

目次

はじめに

第1章 生物進化からみた特異点の形
(1)生命進化とビッグデータ;脳がうまれる必然性
(2)文明進化とビッグデータ;コンピュータが生まれる必然性
(3)そもそも人工知能とは何なのか?
(4)人工知能の技術的特異点(シンギュラリティ)
(5)人工知能と意識
(6)人工知能とロボットと人工生命

第2章 「人工低能」があってもいい;「虫けらの人工知能」のネットワーク
(1)人工無能とは?
(2)人間は支配者か
(3)「人工低能」があってもいい

第3章 人工知能は熱力学をこえるか?
(1)人工知能もエントロピーの増大則には逆らえない
(2)人工知能のエネルギー源
(3)人工知能搭載型エネルギー自給システム
(4)エントロピー生成率最大化の法則
(5)エントロピー生成率最大化の法則から人工知能を考える

第4章 人工知能はお金が好きか?
(1)人工知能とお金
(2)ビットコインなど仮想通貨の動向
(3)人工知能「経営者」
(4)ロボット経済学の必要性(技術的特異点前)
(5)ロボット経済学の必要性(技術的特異点後)

第5章 無人自動企業の可能性
(1)もし人工「低」能による無人企業があったら
(2)人工知能による無人企業(その一つの形)
(3)マネジメントの問題をどのように解決するのか
(4)「無人エネルギー売買企業」(エネルギー生命体)の可能性
(5)無人企業の規模の進化
(6)人工生命化した分散エネルギーネットワーク

第6章 資源循環エンジンの可能性
(1)持続可能文明への転換
(2)資源循環エンジン
(3)循環型産業システムの構築
(4)環境浄化システムの可能性

第7章 人工知能の生態系が生み出す新しい社会
(1)近未来(今後10年)
(2)近未来2(今後30年)
(3)21世紀後半
(4)22世紀のはじめ
(5)23世紀以降

おわりに